ハリス氏は「突然黒人に」 トランプ氏、差別的と波紋(2024年8月1日『共同通信』)

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トランプ前米大統領(AP=共同)
 【ワシントン共同】11月の大統領選に向け、民主党候補指名を確実にしたハリス副大統領(59)と共和党候補のトランプ前大統領(78)は7月31日、黒人票獲得を狙ってそれぞれ集会などに参加。トランプ氏は黒人記者団体の会合で、ハリス氏は「突然黒人になった」と攻撃した。差別的だと波紋が広がっている。
 各種世論調査によると、ハリス氏はバイデン大統領(81)が苦戦した黒人有権者の支持を回復し、トランプ氏との支持率の差を縮めている。
 トランプ氏はイリノイ州シカゴでの全米黒人記者協会の年次総会で、ハリス氏について「以前はインド系だとアピールしていた。数年前まで黒人だと知らなかった」とやゆした。

ハリス氏は「インド系から黒人になった」 トランプ氏が言いがかり(2024年8月1日『毎日新聞』)
 
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ドナルド・トランプ米大統領=2024年7月18日、秋山信一撮影
 11月の米大統領選で返り咲きを目指す共和党ドナルド・トランプ前大統領(78)は7月31日、中西部イリノイ州シカゴで開かれた黒人ジャーナリスト団体のイベントで、民主党候補指名が確実視されるカマラ・ハリス副大統領(59)は「いつからかインド系から黒人になり、今は黒人として知られようとしている」と言いがかりをつけた。イベント後には、ソーシャルメディアへの投稿で「狂ったカマラは人種さえも(選挙に)利用する」と一方的に主張した。
 米メディアによると、ハリス氏は、ジャマイカ系の黒人の父とインド系移民の母の間に生まれた。自身は幼少期から「黒人」として育てられたと説明している。トランプ氏の発言に対し、ホワイトハウスのジャンピエール報道官は同日の記者会見で「ひどく不快で侮辱的だ」と反発した。
 トランプ氏は31日のイベントで「彼女のことは間接的に古くから知っているが、いつもインド系だと自ら宣伝しており、黒人だと知らなかった。だから彼女がインド系なのか、黒人なのか分からない」と語った。
 ハリス氏は幼少期に両親が離婚し、インド系の母のもと、黒人地区で「黒人の娘」として育てられたという。長年、黒人に教育機会を提供してきたハワード大学を卒業し、法科大学院でも黒人の学生組織のメンバーだった。
 トランプ氏は過去にも政敵の出自に言いがかりをつけ、「ルーツが怪しい」という根拠のない印象づけを図ってきた。黒人のオバマ元大統領について「外国で生まれた」と何度も主張したり、今回の共和党候補指名を争ったインド系のヘイリー元国連大使がインド名を意図的に使っていないと示唆したりしてきた。【ワシントン秋山信一】

全米自動車労組、ハリス氏に支持表明 激戦州で追い風に(2024年8月1日『ロイター』)
 
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全米自動車労働組合(UAW)は31日、11月の米大統領選で民主党の大統領候補となる見通しのハリス副大統領(写真)に支持を表明した。22日撮影(2024年 ロイター/Nathan Howard)
 
デトロイト/ワシントン 31日 ロイター] - 全米自動車労働組合(UAW)は31日、11月の米大統領選で民主党の大統領候補となる見通しのハリス副大統領に支持を表明した。
UAWのフェイン会長は、ハリス氏が労働者層のために尽力してきたと称賛し、「われわれと共に企業の強欲と戦ってくれるだろう」と述べた。
UAWは37万人の組合員を抱え、その多くは選挙戦で激戦州となるミシガン州に居住し勤務していることから、ハリス氏への追い風となる見通し。
UAWは1月、当時再選を目指す考えだったバイデン大統領を支持。しかし7月に入り、バイデン氏では共和党候補のトランプ前大統領に勝てない可能性があるとして、執行部と突っ込んだ協議を行ったと、関係筋が明らかにしていた。

ハリス米副大統領が放送禁止用語 差別に対抗、会場から喝采(2024年5月14日『共同通信』)
 
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米ワシントンで開催された会合で演説するハリス副大統領=13日(ゲッティ=共同)
 
 【ワシントン共同】ハリス米副大統領が13日、ワシントンで開催されたアジア系の人々の政治参加を促す会合で少数派への差別や偏見に立ち向かおうと呼びかけた際、放送禁止用語を使う一幕があった。普段、台本通りに話すハリス氏にしては珍しく感情が高ぶった様子に、会場の聴衆から喝采が上がった。
 ハリス氏はジャマイカ出身の父とインド出身の母との間に生まれ、黒人、アジア系、女性として初の副大統領。差別を扉に例えて「開かない時は、蹴飛ばさなくちゃ」と鼓舞したときに下品な言葉を交えた。直後に「言葉遣いを許して」とわびた。
 司会者の男性は「扉を蹴飛ばそうと書いたTシャツを作らなくちゃ」と笑顔で応じた。