YouTube「選挙ドットコムちゃんねる」では、毎週選挙や政治に関連する情報を発信中です。 2024年7月13日に公開された動画のテーマは「東京都知事選 蓮舫さんの敗因は?」 都知事選は連日蓮舫氏の応援に参加したという立憲民主党・野田佳彦衆議院議員が、敗因と野党共闘について語ります。
「立憲民主党は長男」という、その心は? 【このトピックのポイント】
・「街頭の手応えは最高だった」都知事選、敗因は論戦不足?
・170万票を獲得した石丸氏が呼んだのは「既存政党への不信」
・10年間できなかった野党共闘を成し遂げるためには?
野田氏のプロフィールは以下の通りです。 野田氏は早稲田大学卒業後に、松下政経塾に入塾。 千葉県議会議員を経て、1993年に衆院選に出馬し初当選。 民主党政権時代には、最後の総理大臣を務めました。
今まで、日本新党、新進党、民主党、民進党、立憲民主党に所属し、長く野党の顔として活躍。
「離党したことはなく、政党が消えたり、合併したりした……」と苦笑する野田氏は「常に自民党には行かないことを決意してきた」と語ります。
その理由を「星野仙一は、ジャイアンツに行かなかったから、星野でしょ」と解説。 野田氏は「ライバルを作ろう!ライバルを倒そう!というのが私がずっと願っていることです」と力説した。
今回は以下の質問からいくつかピックアップして野田氏に回答していただきました。
野田氏は、蓮舫氏について「よく立候補していただいた」と振り返ります。
野田佳彦氏「事前に、都連が世論調査をしても、やっぱり小池氏は強いと。蓮舫さんが出た場合も勝てていない。
それでも乾坤一擲の勝負を挑んだこと自体、20年のキャリアがある人がよく決断したと思いました」 「しかも、彼女はいちばん同志の応援に全国駆け回っている人」と仲間思いの蓮舫氏について語る野田氏。「危害を加えるような嫌な脅迫もあったので、ボディガードで行こうと思い(笑)」とほぼ毎日応援に行った現場での手応えを、次のように語ります。
野田氏「38年間ずっと街頭活動をやっているんですけど、集まっている方の数、熱気、手応え感はものすごかったんですよ。
おそらく、今まで私が見た中での最高レベルの街頭だったんですよね」 それでも負けてしまった理由は「現職と一騎打ちの構図に持って行けなかった」ことにあると総括します。
野田氏「実態は現職対55人が挑んでいる構図じゃないですか。有力な新人が1人ならいい勝負になったと思うんです」 蓮舫氏を「論戦に強い候補」と評する野田氏は、小池氏を「守りが上手というか、今回は論戦に全然出てこなかった」と指摘します。
MC西田亮介「そうですね、姿を見かけなかった。公務に専念といって」 野田氏「公務に専念といってるけど(衆院補選で)東京15区で乙武さん(洋匡氏)を応援している時は公務そっちのけだったのに、今回は出てこないじゃないですか」 「現職がでてこないと論戦は深まらない」と悔しそうに語りました。
石丸氏のメッセージは政治不信でなく「既存政党不信」を呼んだ
野田氏がもうひとつ理由に挙げたのは、石丸伸二氏のSNS戦略です。 野田氏「石丸さんのSNSを駆使した訴求力が思った以上だったので、無党派を取られていったことが、最大の敗因だと思います」 野田氏は、他県で改革派知事として名を馳せた政治家でも東京都知事選で勝てたことがなかった中、市長を1期の途中までしか経験していない石丸氏の躍進には驚きを禁じ得なかったようです。
野田氏「(石丸さんが)ここまで一気に知名度を上げて、支持者を増やすというのは、私も古いタイプだったのかもしれませんけれど想像がつかなかったですね」
MC西田も、「安芸高田市は人口2.7万人くらいのとても小さな自治体。東京都民1400万人とはスケールが違う。情勢調査が出てくるまでは、ここまで伸ばすとは……」と驚きます。
参議院の東京選挙区は6人区で、ボトムの当選ラインが50万票、トップ当選で100万票が目安といいます。石丸氏の170万票はインパクトが大きかったと言えます。
野田氏は、石丸氏の手法に着目するだけでなく、政治不信への都民感情に対し「我々は事態を矮小化していたのではないか」と語ります。
野田氏「彼(石丸氏)の場合はもっとマグマを押さえていた。30年間日本は元気がなくなってきたのはなぜなんだ、若者の声が届かないのはなぜなんだということに対する怒り」 石丸氏も具体論を述べているわけではないのに、「マグマに触れていたことがこれだけの爆発的な支持につながったのではないかな」と、深く分析する必要があるとコメントします。
野田氏「政権不信、自民党不信のような流れを、既成政党不信にされたのが大きかったのかもしれませんね」
野党協力は、野党第一党である「長男の包容力」次第?
MC西田「今後、どのように流れを変えていくのでしょう?」 野田氏は、石丸氏の手法に学ばなければいけないとする一方、候補者の擁立と野党間の調整という、「基本中の基本をしっかりやれることしか今はないと思います」と述べます。 MC西田「10年間なかなかできていない中で……何かないと、前例踏襲のままダラダラ行ってしまうと。
10年間と同じまま選挙に突入してしまうことを懸念するのですが」
野田氏は、「ここはやはり、自民党を過半数割れに追い込むという大目的を共通目標として、確認をした中で最後の調整をできるかどうか。常に声をかけていかなければならない」とかみしめるように語ります。
都知事選での石丸氏の躍進から考えられるのは、自民党だけでなく、野党第一党である立憲民主党にも政治不信のようなものがあると仮定できるのではないかと、MC西田は問いかけます。
MC西田「日本維新の会も、都議選の補欠選挙に2人候補を出して、いずれも落選しました。このように維新も勢いがない。であれば、自民党は、早めに選挙をやったら意外と行けるのではないかと考えるのでは?」
野田氏は「考えるかもしれない」と返しながら、立憲民主党では目標とする200人候補擁立を目指しつつ、野党協力を模索していくとコメントします。
野田氏「過半数割れに追い込むためにね、維新に関西に協力する、関東で協力してもらうところとか、などなど、いろいろなことをやっぱり考えていかなければいけない」 野田氏は、野党を兄弟に例えます。
野田氏「野党第1党というのは長男だと思いますので。やんちゃな次男(日本維新の会)とか、勝ち気な次女(日本共産党)を、包容力で包んでいくことが大事だと思います」 維新との関西での協力については「党内でひんしゅくになってしまったのであまり言いたくない」と濁す野田氏ですが、「最低限のルール・規範のようなものがお互いに確認できればいい」と語ります。
野田氏「相手の強いところに無理して立って、200人を220人にしたって意味がないと思うんですよ。お金だって限られているわけですから。相手も勝ち目のないところに立てないでしょ、ということはできるでしょ、最後は。あとは接戦区も協力できるかなと思いますよね」
MC西田氏「やんちゃな次男に対しても、包容力が必要?」
野田氏「今、分断の政治ばかりじゃないですか。けんか腰で。政治って物事を進めるには飲み込んでいかなければいけない部分がいっぱいあるんですよ。10年の反省は、野党で足を引っ張り合ったことにあると。やり合っているから自公が常に強いわけです。その猛省をどうやって具体的にやるかと思います」 番組ディレクター「次女が黙っていない可能性もありますよね?」 西田氏も、「次女と組むことが無党派層の不信を買っているのかもしれない」と指摘します。
野田氏「それはよく分析しなければならない。東京の場合は、次女のほうが長男より都議会の議席数が多い。足し算で考えると、応援してくれるのはありがたいと考えるのが普通なんですよ。ただ、化学反応があって引く人もいるし、東京以外では、もっと引く人もいるかもしれないということはよく分析すべき」
最後に、長男を長らく支援してきたはずの、連合の温度感についてです。
MC西田「野党を長く支援してきた連合が、都知事選で従来と違う動きをした。支援に至らなかった理由は?」
野田氏「もともと連合東京は、都議選でも都民ファを応援している。現職優先ですしね。蓮舫氏が完全無党派でやったとしても、あるいは立憲の推薦だけでやったとしても、応援していただけたかわからない。ただ、むしろ追いやってしまった可能性もあるかもしれないので、これからの対応だと思います」