スケートボード 女子ストリート 吉沢恋が金 赤間凛音が銀 五輪(2024年7月29日『NHKニュース』)

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パリオリンピックスケートボードの女子ストリートで、14歳の吉沢恋選手が金メダルを、15歳の赤間凛音選手が銀メダルを獲得しました。
 
スケートボードの女子ストリートの決勝は、28日、パリ中心部にあるコンコルド広場で行われ、世界ランキング1位の吉沢選手が予選トップ、世界2位の赤間選手が予選2位、前回の東京大会で銅メダルを獲得した19歳の中山楓奈選手が予選5位で、それぞれ決勝に進みました。
ストリートの決勝は、45秒の間に何回も技を繰り出す「ラン」を2回、1回の大技で勝負する「ベストトリック」を5回行い、それぞれの得点の高い3回の合計で順位を競います。
このうち前半の「ラン」では、赤間選手、吉沢選手、それに中山選手が、出場した8人のうちの上位3人につけて、日本選手の表彰台独占の期待が高まりました。
そして後半の「ベストトリック」では、赤間選手が1回目にボードを270度回転させてからレールを滑り降りる「フロントサイド270ボードスライド」という技を決めて92.62をマークし、2回目も84点台を出して、この時点でトップに立ちました。
しかし吉沢選手は4回目でボードを縦と横に同時に回転させてからレールを滑り降りる「ビッグスピンフリップボードスライド」という大技を決め、96.49をマークしました。
吉沢選手は続く5回目も89点を超える高得点を出して合計272.75となり、逆転で金メダルを獲得しました。
赤間選手は合計265.95で銀メダルとなり、ブラジルのライッサ・レアウ選手が銅メダルを獲得しました。
中山選手は「ベストトリック」の5回をすべて成功させることができず、7位でした。
日本選手がこの種目で金メダルを獲得するのは、前回の東京大会に続いて、2大会連続となりました。
吉沢恋 「すごくうれしい レベルアップしていきたい」
金メダルを獲得した吉沢恋選手は、「予選を1位で通過できて『きょうは調子がいい』と思っていた。パリ大会の予選に続いて、この大会でも『ビックスピンフリップボードスライド』で逆転することができてすごくうれしい」と振り返りました。
また、今後はほかの選手に追いかけられる存在になったことについて、「自分をここに立たせてくれたのはこれまで追いかけてきた先輩たちのおかげだと思うのでそこに感謝しながら今後は抜かされないようにレベルアップしていきたい」と話しました。
そのうえで今後のオリンピック出場に向けて「スケートボートの選手は、選手生命が短くて平均年齢も低いので、大人になってもオリンピックに出場できると証明していきたい」と意気込んでいました。
赤間凛音 「自分らしい滑りができた 次は金メダル」
銀メダルを獲得した赤間凛音選手は、「パリオリンピックでメダルを取るのが夢だったのでうれしいし、今まで獲得してきたメダルよりもすごく重くて感動している。最後まで諦めずに自分らしい滑りができたと思う」と振り返りました。
また、ともに出場した吉沢恋選手と中山楓奈選手については、「オリンピックまで励まし合い、相談しながらやってきたので、かけがえのない存在。2人がいなかったら絶対に銀メダルは取れなかった」と話しました。
そのうえで、「次のオリンピックでは絶対に金メダルを取りたい」と話し、すでに4年後を見据えていました。
中山楓奈 「すごく悔しい すぐにもっと練習したい」
決勝で後半の「ベストトリック」を1回も成功できずに7位となった中山楓奈選手は「日本選手で私だけが表彰台に乗ることができず、すごく悔しい。いちばん得意な技を5回トライしたが、できなかったということはまだまだ練習不足なので、日本に帰ってすぐに、もっと練習したい」と悔しそうな表情で話していました。
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金メダル 14歳 吉沢恋 つながる“憧れ”のたすき
14歳の吉沢恋選手は「次は自分が憧れを与えられる存在になる」という強い思いを持って初めてのオリンピックに臨みました。
吉沢選手がオリンピック出場を意識したのは3年前の東京大会でした。
女子ストリートで金メダルを獲得した西矢椛選手が頂点をつかんだ得意技「ビッグスピンボードスライド」。
当時、小学生だった吉沢選手は、すでにこの技を習得していたのです。
吉沢選手は「テレビで見ていて、自分ではまだ手が届かないオリンピックに出ていた西矢選手が、同じ技をやっているのを見たときは衝撃だったし、もしかしたら私にもチャンスがあるんじゃないかと初めて思った」と振り返ります。
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自分もオリンピックの舞台へ。
パリ大会を目指し始めた吉沢選手は、選考レースの序盤から持ち味の安定感抜群の滑りで結果を残しました。
そして、ことし5月のパリオリンピック予選シリーズ第1戦では3位に入り、6月の第2戦では見事優勝を果たして、世界ランキング1位で、初めてのオリンピック出場をつかみました。
この期間での成長について吉沢選手は、ほかの選手を気にせず、自分の滑りだけに集中することができるようになったことが要因の1つだと振り返ります。
吉沢選手は「自分の滑る前の選手が技を成功して高得点が出ると『自分も決めなきゃ』という感情になってしまって、焦ってミスをしてしまう。そこで誰が決めても『おめでとう』と思うようにして、自分は自分の中でやれることをやるという気持ちで挑んでいる」と話していました。
こうしたメンタル面の成長によって技の成功率の高さにさらに磨きがかかった吉沢選手は初めてのオリンピックの舞台にある決意を持って臨みました。
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それは「自分がテレビの前で東京オリンピックを見て、憧れた1人でもあるので、次は自分がテレビの中の人になって、誰かに憧れを与えられるような選手になりたい」という思いです。
初めてスケートボードが採用された東京大会からつながる“憧れ”のたすき。
今度は、吉沢選手を見たスケーターが夢の舞台を目指すかもしれません。
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銀メダル 15歳 赤間凛音 大けが乗り越え躍動
15歳の赤間凛音選手は去年、鎖骨などを折る大けがを負い、オリンピック出場を諦めかけましたが、その試練を乗り越えて初めての大舞台で躍動しました。
赤間選手は東京オリンピックの年の12月に行われた日本選手権で。
金メダリストの西矢椛選手を破って12歳で初優勝を果たし、「パリオリンピックに出たい」と宣言しました。
赤間選手が東京大会を見ていて感じたのは“悔しさ”だったということで、「西矢選手や中山楓奈選手がメダルを取ったときはすごいと思ったけど、そこに自分が出られていたらと思って、悔しい気持ちだった。1日1日の練習を大切にして、ほかの選手ができない技を極めてきた」と振り返ります。
180度回転して車軸部分をレールに滑らせる代名詞の「バーレーグラインド」など、ほかの女子選手がやらない数々の技を身につけ、パリ大会の選考レースを序盤からリードしてきました。
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しかし去年8月、大会の練習中に転倒し鎖骨と骨盤を骨折し、全治5か月から6か月の大けがを負いました。
当時の気持ちを「オリンピックに出場できないんじゃないかと不安にもなったが、東京オリンピックに出られなかった悔しさを思い出して、およそ1週間後からトレーニングやリハビリを始めた」と振り返り気持ちを切り替えたことを明かしました。
そして復帰戦となった去年12月の世界選手権で6位に入り、続くことし3月の選考大会では優勝。
5月と6月の予選シリーズ2戦でも安定した強さを発揮して、初めてのオリンピックの切符をつかみました。
赤間選手は、「けがをしている間にみんなが上手になっていて、自分がなかなか成長できないときに、壁にぶつかってしまったが、なんとか乗り越えられた。絶対にパリオリンピックに出てメダルを取りたいとずっと思っていた」と強い思いを語っていました。
悔しさをバネに、大けがにもくじけることなく努力を続けてきた思いが、パリの舞台で実を結びました。
==3選手 予選は==
パリオリンピックスケートボードは、女子ストリートの予選が行われ、世界ランキング1位の14歳、吉沢恋選手が予選トップとなるなど、日本の3人の選手全員が上位8人による決勝に進みました。
スケートボードの女子ストリートの予選は、28日、パリ中心部にあるコンコルド広場で行われ、日本からは、世界ランキング1位で14歳の吉沢選手、世界2位で15歳の赤間凛音選手、世界4位の19歳で東京大会で銅メダルを獲得した中山楓奈選手の3人が出場しました。
ストリートは、階段やレールなどが設置されたコースで、▽45秒の間に何回も技を繰り出す「ラン」を2回、▽一発の大技で勝負する「ベストトリック」を5回行ったうえで、得点が高かった「ラン」と「ベストトリック」2つをあわせた、3つの合計点で順位を競います。
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このうち吉沢選手は、2回目の「ベストトリック」で、ボードを回転させたあとにレールを滑り降りて着地する「キックフリップボードスライド」を決めるなどして、合計258.92をマークし、予選トップで上位8人による決勝に進みました。
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また、赤間選手は257.99で予選2位、中山選手は245.52で予選5位となり、日本の3人の選手全員が決勝に進みました。
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日本選手が表彰台の独占を目指す上でライバルとなる外国選手のうち、世界3位の16歳で東京大会で銀メダルを獲得したブラジルのライッサ・レアウ選手は、「ベストトリック」で出場選手中ただ1人、90点を超える92.68をマークし、予選7位で決勝に進みました。
吉沢恋「1本目のランがミスなくでき 自信に」
予選トップで決勝に進んだ吉沢恋選手は、みずからの順番を終えた直後「1本目のランがミスなくできたので自分の中で自信になり、その後の流れを作ることができた。決勝もまずは楽しんで、1本目からミスなくできるように頑張りたい」と話していました。
赤間凛音「決勝では必ず金メダルを」
予選2位で決勝に進んだ赤間凛音選手は「初めてのオリンピックはすごく緊張したが、観客の盛り上がりで楽しく滑ることができた。決勝では必ず金メダルをとりたいので、最後まで諦めないで自分らしく滑りたい」と話していました。
中山楓奈「3選手で楽しく滑って表彰台に」
予選5位で決勝に進んだ中山楓奈選手は「練習では緊張してうまく動けなかったが、本番はすべての力を出しきることができた。決勝では日本の3選手で楽しく滑って表彰台に乗れたらすごく幸せなので、自分の滑りをして悔いのないようにしたい」と話していました。
スケートボード選手のユニフォーム 胸には魚の「コイ」
東京オリンピックで日本勢があわせて5つのメダルを獲得したスケートボード
パリ大会での活躍が期待される選手たちのユニフォームの胸には魚の「コイ」のマークがあしらわれています。
このうち吉沢恋(ここ)選手は、名前の漢字が同じ読み方の「こい」であることから、このユニフォームを気に入って着ているということです。
吉沢選手は23日の公式練習の終了後に「漢字は違うけど名前が同じ『こい』なので、縁起がいいなと思って、いつもこのマークが入っているユニフォームを着ています。楽しんで滑りたいです」と話していました。