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黒船なき令和の日本で、革命なき安逸の日々のなかで、激烈な政権交代は起きるのか?
しかし、いま変わらなければ――かならず日本は、沈む!
百戦錬磨の戦略家、橋下徹(55歳)。時代を見定め、歴史を洞察し、日本人の本質を透徹した先に見えた悪魔的リアリズム、それが「政権変容論」だ。橋下氏は言う。
「『政権変容』が劇的に新しいのは、自民党がどうであろうと関係なく、野党が腹を括って決断しさえすれば次の総選挙で実現できるところです」
2024年の選挙から、グレートリセットは始まるのだ。
7月19日発売の最新刊『政権変容論』(講談社刊)から、特別に内容を抜粋してお届けしていこう。
『政権変容論』連載第10回
「領収書の存在しない経費」
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―昔から、政治にはカネがかかると言われ、庶民もなんとなくそのイメージは持ってきましたが、想像以上に無節操、かつタガが外れているのでは……という庶民感覚が、政治への不信として噴出しています。
あまりにケチ臭くて情けない。
弁護士という職業柄、僕もこれまで税金を巡る案件を担当してきました。しかし今回ほどお粗末な「脱税」の手法は、なかなか類を見ません。政治資金収支報告書の収入欄を不記載にするというのは、本来の所得を低くして偽るのと同じ。
幼稚園レベルの脱税手法です。
また政治資金パーティー券のキックバック分というのは、要するに「雑所得」です。もし、それを「政治資金」として使った「経費」だと言いたいのであれば、どういう目的でいつ使ったのか、誰に支払ったのか、証拠となる領収書が本来は必要です。それが領収書なしで経費扱いとなってしまうと、極端な話、愛人に貢いでも、恋人に高価なワインを購入しても、自宅の家賃に費やしても、誰にもバレることがありません。
経費扱いにして納税しないのであれば、領収書が必要不可欠です。
ところが岸田首相は参議院予算委員会で、そうした政治資金パーティーを巡る金銭に関して、「個人で受領した例を確認できていない以上、納税などを促すことは考えていない」と述べました。実際には「使途不明金」だらけなのに。
それは僕ら民間人で言えば「領収書は保管してないが、全部経費として使ったので、納税しなくていいですよね」と税務署に言うようなもの。当然、そんな申告が認められるはずがない。
政治家にはカネが集まる
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―政治資金規正法自体は、48年に制定されていますが、「リクルート事件」(88年)や、政治家への巨額献金が明るみに出た「東京佐川急便事件」(92年)を経て、大きく改正されました。政治家個人が企業・団体から献金を受けることを禁止したり、パーティー券購入者の氏名公開基準も、それまでの1 0 0万円から20万円に引き下げられたり。
ただ、庶民の感覚からすれば、まだまだということですね。
橋下抜け穴はいくらでもあるザル法ですからね。法律の知識を持った者が本気を出せば、いくらでもすり抜けられるようにできている。
しかも購入者の氏名の公開も、1回に付き20万円以上。献金の5万円以上に比べればかなり緩いし、現金で支払えば裏金化も可能です。企業・団体が実際いくら購入しどれだけのおカネが政治家個人に渡ったかなんて、いくらだってごまかすことができる。
つまり政治家がやろうと思えば、いくらでも納税することなくカネを集めることができるんです。
―「政治家にカネが集まるのは当たり前」というのは、橋下さんご自身、政治家になったときに実感されましたか。
橋下それはもう、びっくりするほどね(笑)。とにかくあの手この手で、カネを掴ませようとしてくる個人や企業・団体がいくらでもいることに、驚きました。話には聞いていたけど、これほどか、と。
額縁から札束が...
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たとえば僕が大阪府知事に立候補した際、いくつもの業界団体から献金の申し出がありました。そうした献金はすべて断ったけど、それでも「ご挨拶だけでも」と訪ねてくるからスタッフが会うわけです。するとその業界団体が僕を知事に推薦するという分厚い「推薦状」の額装を手渡して帰っていく。相手が帰った後、スタッフが額ぶちの裏を確かめてみると、札束がゴソッと出てくるんで仰天しました。
―え、そんな露骨なことが、この21世紀にもまだあるんですか?
橋下あります、全然あります。もちろん僕はきっちり全額返しましたけどね。秘書に頼んで、耳を揃えて返すようにしていた。だってそんなカネ、恐ろしくて受け取れませんよ。
理屈は分かりますよ。そういう「業界団体の推薦状」を円満に受け取っておけば、大阪の各種団体が応援団になってくれたも同然です。彼らが後援会をつくって、「橋下を応援するぞ!」となったら鬼に金棒です。
でも、当然そうしたカネには、大きなリスクもあります。カネを受け取った代わりに、俺ら業界団体に便宜をはかれよと。そうすれば、次の選挙も応援するぞ、というね。
政権変革論 (黒板+α新書 879-1C) ペーパーバック 新書 – 2024/7/19
橋下 徹(著)
【橋下徹からのメッセージ】
政権「変革」? なんだその言葉は?
それもそのはず、これは僕がつくった造語です。
普通は政権「交代」という言葉を使います。 反対政治家は政権「交代」を
目標にし、加えて現政権に批判何かのメディア・評論家や学者たちも
口を開けば政権「交代」の必要性を説き
ます。と思っているもの、自由に政権を完全に去ってもらって、今の野党に政権を担ってもらいたいとまで思っているの
か。のメッセージ]黒船なき令和の日本において、革命なき安逸の日常の中で、はたして激烈な政権交代は起きるのか? しかし、今変わらなければ――映る日本は、沈む!
国民の声なき真意を掴み続ける百戦錬磨の戦略家、橋下徹。
時代を遍歴し、歴史を洞察し、日本人の本質を透徹した先に見えた悪魔のリアリズム=土台。
2024年の選挙から、グレートリセットが始まります!
【本書の内容】
それは結局「政権交代近し!」と色めきだつメディアや評論家もある。
しかし、日本の政治をめぐる情勢は、そんな単純なことだろうか? 自らの敗北は自滅であって、野党がからの力で勝利したとはみず言いがたい。「だから、交代ではなく交代だ」