最低賃金について議論している厚生労働省の審議会は物価の上昇が続いていることなど踏まえ、今年度、過去最大となる時給で50円引き上げる目安を示し、全国平均は時給1054円とすることで決着しました。
最低賃金は企業が労働者に最低限支払わなければならない賃金で、現在の時給は全国平均で1004円です。
24日、労使双方が参加した審議会で最終盤の議論が行われていましたが、時給で50円、率にして5%引き上げる目安が示され、全国平均は時給1054円とすることで決着しました。
引き上げ額は去年の43円を超えて過去最大です。
日商会頭 「企業経営や地域雇用に与える影響調査を」
飲食店 従業員は歓迎も店主は影響懸念
最低賃金が50円引き上がる目安で決着したことについて、大学2年生のアルバイトの女性は「物価も上がっていて大変なので時給が上がることはうれしいです。海外に留学したいのでその費用にあてたいです」と話していました。
飲食店「和創作 空」の門倉和幸店長は「従業員も収入を得るために働いているので時給が上がることはいいことなのですが、雇っている側としてはどうやりくりするか不安なのが正直なところです。客へのおもてなしをして店全体として売り上げ上がるよう取り組みたい」と話していました。
専門家「生活の下支え効果期待」
今年度の最低賃金の目安が過去最大で決着したことについて、大和総研の田村統久エコノミストは「賃上げの機運が広がる一方でそこから取り残された人もいる中で、今回の最低賃金の引き上げは低賃金の労働者が物価が高まる中でも生活水準を下げないようにする下支え効果が期待できる」と指摘しました。
一方で「積極的に最低賃金を引き上げたときに企業の人件費の負担が大きく懸念され、企業には生産性の向上や価格転嫁を進めていくことが求められる。価格転嫁については個々の企業でできることは限られるので、しっかりと政府が音頭をとって支援していくが必要だ」と話していました。
今後、都道府県ごとに議論される最低賃金については「比較的、最低賃金を引き上げやすい地域はしっかりと引き上げていくことが大事だ。一方で賃金が上がった結果として雇用が失われてしまっては本末転倒で、雇用情勢や経済実態に即した引き上げを行うことが大事になってくる」と話していました。