アメリカ大統領選挙で、バイデン大統領の後継候補として指名される見通しとなったハリス副大統領と共和党のトランプ前大統領の支持率が最新の世論調査できっ抗していることがわかりました。
全米対象の世論調査で “支持率きっ抗”
ロイター通信と調査会社イプソスは、アメリカのバイデン大統領が選挙戦からの撤退を表明したあとの今月22日から23日にかけて全米を対象に世論調査を行いました。
それによりますと、「もし、大統領選挙がきょう実施され、民主党のハリス氏と共和党のトランプ氏が候補者だった場合、誰に投票するか」という質問に対し
▽「ハリス氏」と答えたのは39%、
▽「トランプ氏」も39%でした。
一方、有権者登録をしている人に限定した場合、
▽「ハリス氏」と答えたのは44%、
▽「トランプ氏」が42%でハリス氏が2ポイント上回りました。
また、公共ラジオ「NPR」と公共放送「PBS」が、今月22日に全米を対象に行った世論調査によりますと、有権者登録をした人のうち、「もし、選挙がきょう実施された場合」、
▽「トランプ氏に投票する」と答えたのは46%、
▽「ハリス氏」と答えたのは45%で、トランプ氏が1ポイント上回っています。
一方、人気俳優のジョージ・クルーニーさんは23日、CNNテレビに声明を送り、「われわれはハリス副大統領の歴史的な挑戦を支援するため、できるかぎりのことをする」として、ハリス氏への支持を表明しました。
クルーニーさんはバイデン氏を支援してきましたが、討論会のあとの今月10日、有力紙、ニューヨーク・タイムズに寄稿しバイデン氏では選挙に勝てないなどとして、選挙戦からの撤退を求めていました。
ハリス副大統領 初の選挙集会「民主党を結束させる」
アメリカのハリス副大統領は大統領選挙でバイデン大統領の後継として民主党の指名に必要な数の代議員の支持を確保したと伝えられ、候補者に指名される見通しです。
23日、中西部ウィスコンシン州でバイデン氏の撤退表明後、初めて選挙集会を開いたハリス氏は支持者の大きな声援に迎えられました。
ハリス氏は「副大統領としてバイデン氏に仕えたのは人生で最も誇らしいことだ。バイデン氏が国に尽くしてくれたことに心から感謝する」と述べ、功績をたたえました。
その上で「選挙戦でバイデン氏の支持を受けたことは名誉だ。これから民主党を結束させていくことを誓う。私たちは11月に勝利する準備ができている」と述べ、選挙戦への決意を示しました。
また「トランプ氏はこの国を後戻りさせることを望んでいるのだ」と批判し、特に女性や若者を念頭に、女性の人工妊娠中絶の権利を守ることや、銃規制の強化といった共和党と対立するテーマを取り上げ、支持を訴えました。
そして「戦えば勝てる」と結んで大きな歓声を受けていました。
ハリス氏は来月、中西部イリノイ州で開かれる民主党大会に向けて、党内の結束を図るとともに、こうした選挙集会で支持の拡大を図っていくものとみられます。
支持者「希望に満ち 前向きな演説」
地元ウィスコンシン州で政治活動を行っているという60代の女性は「希望に満ちて人々を高揚させるような、前向きな演説でした。ハリス氏は私たちみんなの候補者です」と話していました。
また、別の女性は「すばらしかったです。熱量も、客も、ただただ最高でした」と話していました。
米民主党 上下両院トップがハリス氏支持表明 結束の動き加速
こうした中、民主党の上下両院トップのシューマー院内総務とジェフリーズ院内総務が23日、共同で記者会見を開き、ハリス氏を党の大統領候補として支持するとそろって表明しました。
シューマー氏は「プロセスは、草の根から積み上げられたものだ。われわれは支持する」と述べて党内での支持の広がりを受けて判断したと説明しました。
有力紙、ワシントン・ポストによりますと民主党内ではバイデン氏の撤退表明後、2日余りで、連邦議会議員と州知事、合わせて286人のうち、およそ90%にあたる262人がハリス氏を支持したということです。
バイデン氏の撤退をめぐり意見が割れた民主党内では共和党のトランプ前大統領との対決を見据え、ハリス氏を中心に党の結束を図ろうという動きが加速しています。
バイデン大統領 24日に演説「どう任務をやり遂げるか話す」
アメリカ大統領選挙からの撤退を表明したバイデン大統領は23日、SNSに投稿し、24日午後8時(日本時間の25日午前9時)にホワイトハウスの大統領執務室から国民に向けて演説を行うと発表しました。
バイデン氏は「この先、どのようなことが待ち構えているのか、そしてアメリカ国民のためにどのように任務をやり遂げるのかについて話す」と説明しています。
バイデン氏は今月17日に新型コロナウイルスの検査で陽性が確認されて以降、東部デラウェア州の別荘で自主隔離を続けていましたが、主治医によりますと症状はなくなったということで、23日、ホワイトハウスに戻りました。
これに先立ち、バイデン氏は首都ワシントン近郊の空軍基地で記者団から国民に向けてどのようなメッセージを出すのかと問われ「見て、聞いてほしい」と答えました。
トランプ前大統領 イスラエル首相と会談へ 大統領選を意識か
アメリカのトランプ前大統領は、イスラエルのネタニヤフ首相と26日に南部フロリダ州の自宅で会談することを明らかにしました。トランプ氏はイスラエルとイスラム組織ハマスの停戦の実現に意欲を示していて、秋の大統領選挙を意識したものとみられます。
トランプ前大統領は23日、SNSでアメリカを訪れているイスラエルのネタニヤフ首相とフロリダ州の自宅「マー・アー・ラゴ」で26日に会談することを明らかにしました。
トランプ氏は「私の大統領任期1期目では、中東は平和で安定しており、われわれは再びそれを実現する。強さを通じた平和という私の方針が、ひどく恐ろしい戦争や暴力的な戦闘を終わらせなければならないことを世界に示すのだ」と述べ、イスラエルとハマスの停戦の実現に意欲を示しました。
そのうえでトランプ氏は「多くの人が犠牲になっているが、ハリス氏には止める力はない」と述べ、大統領選挙でバイデン大統領の後継候補となる見通しのハリス副大統領を批判しました。
トランプ氏は先週、ウクライナのゼレンスキー大統領と電話で会談するなど、各国首脳との会談を活発化させていて、大統領選挙を意識したものとみられます。