障害者らへ不妊手術を強制した旧優生保護法(1948~96年)を違憲とし国の賠償責任を認めた今月3日の最高裁判決を受け、村井嘉浩・宮城県知事は16日の定例記者会見で、手術を実施してきた県の責任を認め「申し訳ない気持ちを持っている」と謝罪した。
村井氏はこれまで県が訴訟の当事者でないことを理由に「コメントする立場にない」などとして、責任を明確に認めてこなかった。
この日の会見で村井氏は「時代背景が違うとはいえ、障害を持った方に大変な苦しみを与えた。県として手術を進めてきたことに申し訳ないという気持ちを持っている」と述べた。その上で「今後は対象者のケアを考えていく必要がある」と語った。
旧法下、手術は国からの委任を受けた都道府県が実施してきた。国の統計によると、宮城の強制手術件数は全国で2番目に多い1406件。62年の県議会議事録によると、一般質問で手術増を求める県議に対し、県幹部が「十分使命を果たしたい」と応じるなど、県が手術を推進していたことが分かっている。
県子育て社会推進課によると、被害者への救済法(2019年施行)に基づき、一時金320万円を申請したのは134人で、そのうち認定されたのは5月末時点で126人にとどまる。最高裁判決を受け、今後は被害実態に見合う新たな救済法制定が見込まれる。
一方、対象者は被害を認識できない障害者が多いとみられている。被害者への個別通知実施について、村井氏は「本人確認できる資料がなく、同姓同名の別人に(被害を)通知してしまう可能性もありナーバスな問題だ。県が独自に判断するのは難しい」と述べた。【遠藤大志】