司法の役割は、法によって社会正義の実現を図り、人権を守ることだ。多様な人材が携わるのが望ましい。
インタビューに答える日本弁護士連合会の渕上玲子会長=東京都千代田区で2024年5月16日午前11時2分、宮本明登撮影
検事総長に畝本直美(うねもとなおみ)氏が就任した。4月には、日本弁護士連合会の会長に渕上玲子(ふちがみれいこ)氏が就いた
法曹三者と呼ばれる裁判官、検察官、弁護士のうち、二つの組織で初めて女性がトップを務めることになった。
畝本氏は「男性であっても女性であっても、このポストに期待される役割は同じ」と述べる一方、「誰もが働きやすい職場環境の構築に取り組みたい」と話した。
残るのは裁判所だ。
これまでに最高裁判事になった女性は9人いるが、裁判官出身者はいないのが実態である。
法曹界では男性優位の状況が続いてきた。1940年に初めて女性の弁護士が誕生した。裁判官や検察官への門戸が開かれたのは戦後になってからだ。
一線で働く人からも自身の体験を重ねた声が聞かれる。不平等の歴史を身をもって知る世代の女性がリーダーになる意義は大きい。
家族のあり方や環境問題などを巡り、新たな権利をいかに保障するかが問われている。法曹界の構成にも、社会の実相が反映されるべきだ。
最新の男女共同参画白書によると、女性が占める割合は裁判官24%、検察官27%、弁護士20%にとどまり、いまだ低水準だ。
特に、大きな組織に属さない弁護士は育休などが取りにくいという。働きやすい環境を整えていくことが欠かせない。
時代の変化に対応し、社会の課題を解決していく。女性トップは法曹界の変革をけん引する役割を担ってほしい。