青酸混入菓子が発見され、スーパーの菓子売り場を巡回して警戒する警察官=
大阪市内で
1984年10月15日、今井俊夫撮影
40年前に始まった
新語・流行語大賞の第1回大賞は
NHKの朝ドラブームを表す「オシンド
ローム」。特別賞の「千円パック」は全国を騒がせたグリコ・森永事件の被害企業が発売した完全封印の詰め合わせ商品だった
▲「劇場犯罪」と呼ばれた事件は情報化社会を先取りする犯罪者からの発信が特徴だった。「
かい人21面相」を名乗り、企業トップを誘拐。毒入り菓子をばらまくと脅して「身代金」奪取を狙った
▲「けいさつのあほどもえ」「せいさん
ソーダ入れた」。
大阪弁の挑戦状を報道機関に送り、自己顕示に使った。ネットや
SNSが存在していればもちろん利用したろう。ランサムウエアにも手を出したかもしれない
▲企業のネットワークに侵入してデータを使えなくする身代金要求型のコンピューターウイルス。ロシア系
ハッカー集団の
サイバー攻撃を受けた出版大手
KADOKAWAにかつての食品各社が重なる
▲当時、社会不安をあおる手口に脅迫された企業の業績が悪化し、株価が下がった。今回も運営する学園の個人情報などが脅迫の材料に使われ、システム障害で一部のサービスが停止を余儀なくされている
▲「グリ森」は未解決に終わったが、企業の存亡にも関わるような国際犯罪を野放しにはできない。自衛とともに国際協力で封じ込めたい。40年前は被害企業を助けようと「千円パック」が飛ぶように売れた。現在はダークウェブと呼ばれる闇サイトに流される個人情報などを拡散させないことが支援につながる。