和田秀樹「夫源病」が話題になる昨今、実際<定年後の夫>ほど厄介な存在はなく…「60歳で結婚生活を続けるかを一度考え直す」ことのススメ(2024年6月10日『婦人公論.jp』)

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(写真提供:PhotoAC)
厚生労働省の「令和4年国民生活基礎調査」によると、同居家族の介護をする人のうち約3割が60代だそうです。そのようななか、高齢者専門の精神科医である和田秀樹先生は「本来、60歳からは<やりたい放題>の人生の始めどきである」と話します。そこで今回は、和田先生の新刊『60歳から女性はもっとやりたい放題』から、第2の人生を「やりたい放題」生きていくためのアドバイスを一部ご紹介します。
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【写真】「奥さんへの依存で夫婦関係は悪化する。本当に助け合わないといけなくなるまでは別行動すべし」と語る和田先生
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◆定年後の夫ほどやっかいなものはない
親の介護から自由になったとしても、結婚している女性には、別の「問題」があります。
それは、定年退職して、家でダラダラ過ごす夫の存在です。
やっと子どもが自立してくれたと思ったら、働きもしない夫が一日中家にいて、飯だの風呂だの言ってくる。
タレントの上沼恵美子(かみぬまえみこ)さんが告白したことで、夫の言動がストレスとなり妻の心身に不調をきたす「夫源病」が話題になりましたが、夫の定年前からすでにその兆候が見られた方は、ますます症状が深刻になるかもしれません。
もちろん、深い愛情が残っていればそんな夫の世話も苦にならないのでしょうが、多くの女性は「仕方ないからやっている」というのが本音でしょう。
それでも多くの女性は、「誰かの世話をする」ということが長年の癖になっているのか、あまり深く考えることなく、その面倒なタスクをつい受け入れてしまうのです。
平均寿命からすれば夫のほうが先に旅立つ可能性は高いので、それが永遠に続くわけではないにしろ、そのとき、あなたは一体何歳になっていますか?
70代、80代になってから、さあ、やっとこれからは自分の人生だと思っても、そこで自分のやりたいことをゼロから始める体力や気力が残っているとは限りません。
もしかすると、自分自身に介護が必要な状態になっている可能性だってゼロではないでしょう。
第2の人生は誰のものでもない「自分の人生」であって然るべきです。
その人生の大半を誰かにせっせと尽くすことに費やすなんて、あまりにもったいないと思いませんか?
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『60歳から女性はもっとやりたい放題』(著:和田秀樹/扶桑社)
◆第2の人生でも夫と一緒にいたいか?
そもそもの話、あなたは第2の人生でも今の夫と一緒にいたいのでしょうか?
『60歳からはやりたい放題』や他の本でも、「60歳を契機に、このまま結婚生活を続けるか否かを考えるのはとても良いことだ」と、繰り返し私は書いているのですが、女性は特にその必要があると思っています。
世の中の価値観が変わってきたとはいえ、多くの家庭では相変わらず、女性が男性に尽くす構図になっているのが現実です。
それでも夫が働いているうちなら、仕事に専念できるように夫を支えるとか、家事のほとんどを請け負ったりすることにも多少のメリットはあります。
そのおかげで夫の稼ぎが増えていい暮らしができるとか、「勝ち組」の気分を味わえるといった「見返り」を妻のほうも得られる場合がありますから、そうなれば「尽くす」ことは必ずしも損な役割とは限りません。
こういう言い方をすると怒る人がいるかもしれませんが、これは資本主義の世界でいうところの一種の「投資」なのです。
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(写真提供:PhotoAC)
◆「尽くし損」になってしまう危険
もちろん性的役割の話をしているわけではありません。妻のほうが稼ぎがいいなら、夫が妻に尽くせばいいだけの話です。
私が言いたいのは、誰かに尽くしてちゃんと見返りが得られるのであれば、それも決して悪い選択ではないということです。
けれども、相手が定年退職したあとは、その状況は一変します。
はっきり言えば、定年後の夫というのは、ごく一部の人を除いて、たいした稼ぎはありません。
それにもかかわらず、夫に尽くし続けることは、この先値下がりすることがわかりきっている株にせっせと投資するのと同じです。
つまり、このタイミングで夫婦のあり方を考え直さない限り、女性は単なる「尽くし損」になってしまうのです。
◆二人だけの生活がもたらすストレス
若い頃の結婚というのは、学歴や年収、年齢やルックスといった条件を重視しがちです。
そのせいで、実際結婚してみると、考え方が合わないなあとか、あまり会話が弾まないなあなどと感じることも多いのですが、その一方で、仕事や子育てに割く時間が多いので、多少相性が悪くても、案外なんとかなるものです。
ところが仕事や子育てがひと段落して、二人だけの生活が始まるとそうはいきません。夫婦間の相性の悪さがこれ以上ないストレスをもたらすのです。
だからこそ、60歳あたりを契機に、「第2の人生でも今の夫と一緒にいたいのか」をちゃんと考えるべきだと私は思っています。
とりあえず気心も知れているし、だいぶくたびれてはきたけど、結構物知りで話していて楽しいし、旅行に行くならやっぱり一緒がいいし、というふうに、概ね「イエス」という前向きな結論を出せるのであれば、そのまま夫婦関係を維持していけば良いでしょう。
相手が「楽しさ」とか「幸せ」という見返りを十分返してくれて、かつ、その人に「尽くす」ことが最高の喜びというのであれば、相変わらず「尽くす」ことになったとしても、それなりに意味のあることなのかもしれません。
※本稿は、『60歳から女性はもっとやりたい放題』(扶桑社)の一部を再編集したものです。
 
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60歳からはやりたい放題 (扶桑社新書) ペーパーバック新書 – 2022年9月2日
和田 秀樹(著)
 
42万部超の大ベストセラー『80歳の壁』著者最新作!
歳を取れば取るほどに、将来不安から「食事や嗜好、お金などを節制して、
老後に備えなければならない」と考える日本人が、非常に多いに入ります。
でも、その考えには真っ向から反対です。むしろ60代からは「放題」に生きることこそが、若さを保ち、頭の回転も鈍らせないための秘訣です。「
心体」が激変する60代が2の人生を楽しむためのターニングポイントです。
変化正しい対応策を知ることで、必要以上に将来を怖がらず、自分が生きたいように生きられることを心から願っております。
(目次)
▼第1章:60代以降は「嫌なことはやらない」
・60代に起きる環境や体の変化を知っておく
・60代以降でも脳は鍛えられる
・60代以降のほうが、個人の差が大きく開く
・日本には長生きの専門家がいない
・「嫌なことはやらない」のが、60代以降の鉄則
など
▼第2章:好物を食べれば脳も体も健康に!
・小太りの人のほうが長生きする
・「肉を食べすぎてはいけない」にだまされるな
・脂肪がないと「脂肪」は燃えない
・「食べたいもの」は「体が欲しているもの」
・60歳以上ならばタバコはやめなくていなど
▼第3章:「新しい体験」で前頭葉も活発に・60代から絶対にやっ
てほしい「散歩」・スポーツはやりすぎないほうがいい・「若作り」が老化を止める・毎日に少しでいいから、変化をつけよう・60歳以降に欠かせない男性ホルモンなど
▼第4章:良い医師や病院の選び方とは?・「死にさえしなければいい」という日本の医師・高齢者に大学病院はふさわしくない・健康診断を受ける価値はない・受ける価値があるのは「心臓ドック」と「脳ドック」・薬漬け医療に心拍車がかかる理由など
▼第5章:「認知症うつ病、ガン」を怖がりすぎない・「認知症=かわいそう」は間違い・なぜ、ひとり暮らしは認知症が進まないのか?・認知症と間違われやすい老人性うつ・老人性うつを回避するには?・ガンは治療しなければ「優しい死に方」など
▼第6章:嫌な人と付き合うよりは孤独でいい・結婚は2度するくらいがちょうどよい?・子どもの「介護離職」は絶対に止めるべし・家庭内介護で起きる「介護虐待」・自殺者が予想外に増えなかったコロナ禍に証明された「孤独の価値」・孤独は避けるべきものではないなど
▼第7章:お金を使うほど幸福感は高まる・「老後資金2000万円不足」のウソ・介護保険の利用をためらう必要がある・遺産相続の高齢化が生むトラブル・子どもにお金を残すよりも投資・お金はどんどん使ったほうが幸せになれるなど
▼第8章:60代からこそ、人生を最高に楽しめる!・「ピンピンコロリ」への疑いのまなざし・なんて素敵な「寝たきりライフ」・終の棲家は60代までに決めておこう・60代になったら、どんどん自己主張しよう・とにかく「やってみたかったこと」をやろうなど