小池知事肝いり結婚支援策は“お笑い”レベル…衝撃「出生率0.99」に官製アプリ&漫画化だって(2024年6月6日『日刊ゲンダイ』)

 
「都は世話好き」だって(小池百合子都知事)/(C)日刊ゲンダイ
「都は世話好き」だって(小池百合子都知事)/(C)日刊ゲンダイ

 衝撃の数字だ。厚労省が5日、昨年の人口動態統計(概数)を発表。女性1人が生涯に産む子どもの推定人数を示す「合計特殊出生率」は1.20、昨年の出生数は72万7277人で、いずれも過去最低を更新した。出生率がすべての都道府県で前年を下回る中、深刻を極めているのが東京都だ。

 都の出生率は前年から0.05ポイント減の「0.99」に落ち込み、全国で初めて「1」を割った。小池都知事は先月24日の会見で「多くの方々の婚活、また結婚を支援していきたい」と意気込んでいたが、女帝肝いりの支援策は効果があるのか疑問を拭えないメニューばかりだ。

 都は〈出会い・結婚への希望を叶える支援〉として、昨年度は2億円、今年度は3億円の予算を計上。独自にマッチングアプリの開発を進めており、今夏をメドに本格稼働させる計画だ。利用には顔写真付き証明書のほか、独身証明書か戸籍謄(抄)本、真剣な婚活を誓う「誓約書」などの提出が必要で、なかなかハードルは高い。

思い出ソングも募集

そもそも、済的な理由、子育てと仕事の両立の難しさが要因だ(C)日刊ゲンダイ
そもそも、済的な理由、子育てと仕事の両立の難しさが要因だ(C)日刊ゲンダイ

 都は他にも〈結婚応援イベント〉の一環として、今月30日に「海の森でボッチャ婚(ハート)」と題した婚活イベントを東京湾の海の森水上競技場(江東区)で開催予定。ボッチャとは、どれだけボールを的に近づけられるかを競う障害者スポーツのひとつ。初めてでも楽しめるボッチャを通じて“相手探し”を促す狙いのようだ。

 そもそも、結婚したくてもできないのは経済的な理由や、子育てと仕事の両立の難しさなど複合的な要因がある。官製マッチングアプリや出会いの場の提供で結婚が増えるなら苦労しない。

 しかも、今年度から新たに0.5億円の予算を投じて〈結婚にまつわるエピソードの漫画化&結婚思い出ソングの発信〉に取り組むのだから笑ってしまう。

 都は来月31日までエピソードと思い出ソングを募集し、審査を経て選定されたエピソードをウェブ漫画の原作として使用するという。公式ホームページには〈WEBマンガや思い出ソングの公開を通して、「結婚を希望しながらも、なかなか一歩を踏み出せない」という方の背中をそっと後押しできたらいいなと考えています〉と狙いを書いている。何だソレ。

 都に「ボッチャ婚」や結婚にまつわるエピソード、思い出ソングの応募状況を尋ねたが、「非公表です」(都民生活部)と取り付く島もなかった。