「私たち家族に向き合っていない」中1男子生徒のいじめ自殺 母親が市教委などの対応を糾弾 第三者委「教員への不信感が自殺につながった」と認定 大阪・泉南市(2024年6月6日『読売テレビ』)

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松波翔さんの母親、千栄子さん(6日)
 大阪府泉南市で2022年、中学1年生の男子生徒・松波翔さんが自殺したことについて、市の第三者委員会が「いじめがあった」と認定し「教員への不信感などが自殺につながった」と結論づけ、市長と教育長が謝罪したことを受け、6日、翔さんの母親が会見を開きました。
 6日午前10時半ごろから始まった会見で、母親の松波千栄子さん(50)は「そもそもの問題は、いじめが原因ではない。教員の不適切な対応でいじめが発生し、その後の対応も悪く、最悪のケースにつながった」と指摘。さらに、第三者委員会の発表を受けて市長や教育長が謝罪したことについても、「私たち家族になに一つ向き合ったことはない。私たち家族に向き合わず次のステップに進んでいる」と糾弾しました。
■小学生3年生のころからいじめ 学校や市教委に訴えても解決に至らず
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松波翔さん(当時13)
 2022年3月、泉南市の中学1年生だった松波翔さん(当時13)は自ら命を絶ちました。千栄子さんによりますと、翔さんは小学生の頃からいじめを受けるようになり、学校や教育委員会などに何度もいじめを訴えていましたが、解決には至らず、翔さんは自殺に追い込まれました。
 さらに、翔さんが亡くなった後、遺族が「いじめによる自殺」だと話をしているにも関わらず、市教育委員会への報告などが行われず、市の第三者機関が「異常な状態」と指摘するなど、市教委などの調査が十分に行われていなかったことが問題視されました。自殺から半年後の2022年9月に第三者委員会の立ち上げが決まり、2023年1月から調査が進められてきました。
■第三者委員会「教員への不信感などが自殺に」
 第三者委員会が5月31日に公表した調査報告書によりますと、翔さんは小学3年生以降、同級生に「あほ」「ちび」と言われたり、兄弟の悪口を言われたりするようになります。6年生の時には不登校になり、学校と保護者の関係も悪くなったとしています。
 中学に進学後も「少年院に行っていたから学校に来れなかった」「少年院帰り」と言われるなどのいじめが続き、不登校が続く中、母親と学校との関係が断絶。市外の中学校への転校を模索したものの教育委員会から「市内の中学校に限られる」と伝えられたほか、継続していた家庭訪問がなくなり、苦しみから逃れる希望が絶たれ、学校から「見捨てられた」という感覚を覚えるなどしたため、心理的狭窄に至り自死を決意することに至ったと結論付けました。
 また、自殺に至る要因として、「小学校から中学校にかけて何度も教員との関係の再構築を試み、教員を信じようと行動しているが、幾度となく不信感を抱き、そして幻滅させられる結果となった」と指摘。死亡後の対応についても「学校側は自死の公表に向けて適切な対応を行うことができていなかった」としました。
 この第三者委員会の発表を受け、泉南市山本優真市長らは3日に会見を開き、市教委の冨森ゆみ子教育長は、「信頼関係を十分に構築できなかったことに対してお詫び申し上げたい」と謝罪。山本市長は、再発防止策について「ゼロから始めていく。それほどの思いで臨まなければ、泉南の子どもを守るとは言い切れない」と語っていました。
「大人たちの対応に絶望して、この社会に絶望した」中1男子生徒自殺、第三者委員会が「いじめ」を認定