政治資金規正法改正案 衆院特別委 あす首相質疑と採決へ(2024年6月4日『NHKニュース』)

政治資金

政治資金規正法の改正をめぐり、衆議院の特別委員会は自民党日本維新の会の求めに応じて再修正した法案を改めて提出したいという意向を示したため、4日に予定していた岸田総理大臣への質疑と採決を見送り、5日行うことになりました。これにより、法案は6日の本会議で採決が行われ、衆議院を通過する見通しです。

政治資金規正法の改正をめぐって、衆議院の特別委員会は4日、岸田総理大臣に出席を求めて質疑を行ったあと、自民党公明党日本維新の会の主張を踏まえて提出していた修正案などを採決する予定でした。

しかし、4日朝の理事会で自民党日本維新の会の求めに応じて再修正した法案を改めて提出したいという意向を示しました。

これに対し立憲民主党は「採決日程まで決めていたにもかかわらず極めて遺憾だ」と述べました。

そして、理事会では4日に予定していた質疑と採決を見送ることを決めました。

このあと昼前に理事会が再開され、自民党は再修正案の内容を示したうえで、4日、国会に提出すると説明しました。

これを受けて5日、委員会で岸田総理大臣に出席を求めて質疑を行ったあと、採決することで与野党が合意しました。

これにより、法案は6日の本会議で採決が行われ、衆議院を通過する見通しとなりました。

自民 大野敬太郎氏「再び信頼を寄せてもらえるような環境を」 

与党側の筆頭理事を務める自民党大野敬太郎氏は記者団に対し「時間がかかってしまったことに対しては、じくじたる思いがある。一方で国民から再び信頼を寄せてもらえるような環境を作っていかなければならない。まず1歩目、1つの案として成立させてもらいたい」と述べました。

立民 笠国会対策委員長代理「迷走に次ぐ迷走だ」 

特別委員会の野党側の筆頭理事、立憲民主党の笠国会対策委員長代理は「自民党内の調整はどうなっているのか。信じられない。自民党公明党日本維新の会のトップが合意していることが二転三転し抜け穴や抜け道が埋まってない極めてずさんな法案であると指摘せざるをえない。迷走に次ぐ迷走だ」と述べました。

公明 中川康洋氏「修正も柔軟にしていくのはあり」 

特別委員会の理事を務める公明党の中川康洋氏は「異例な展開だったが、政治資金規正法というすべての議員に関わる話で国民の関心も非常に高いので、多くの意見をしっかりと入れて修正も柔軟にしていくのはありだと思う。5日質問の機会もあるので、公明党としても緊張感を持って臨んでいきたい」と述べました。

《各党の反応》

自民 梶山幹事長代行「改正案の成立に万全を期していく」 

自民党の梶山幹事長代行は記者会見で「各党の提案の中でも取り入れられるものは、できるかぎり取り入れた。できるだけ多くの賛同を得て、この国会での改正案の成立に万全を期していきたい」と述べました。

立民 泉代表「修正案のった政党は泥沼に」 

立憲民主党の泉代表は党の会合で「自民党と協議し、修正案にのった政党が結局苦労し、先の見えない泥沼にはまろうとしている。残念ながら中身について、政策活動費の上限はどういう合意なのか、10年後に公開される領収書が黒塗りになるのではないかなどはっきりしないことだらけだ。国民は注視していて、しっかり政策活動費が本当に抜け道がないものなのか、ただしていきたい」と述べました。

維新 馬場代表「一歩ずつ改革を進めていく」 

日本維新の会の馬場代表は、党の代議士会で「日本維新の会が存在しなければ、今回のような動きにはなっていない。立憲民主党がやたらと高い球だけを投げて、自民党がそれを拒否し、お互い『あいつがやらない』『こいつがやらない』とののしり合って、何も前に進まなかった。一歩ずつ改革を進めていく」と述べました。

維新 遠藤国会対策委員長「再修正した法案は成果」 

日本維新の会の遠藤国会対策委員長は記者会見で「日本維新の会自民党に寄っているのではないかとやゆされるが、結果的に再修正に取り組んでよかった。これをしなければ、政策活動費にブラックボックスが残っていたのは間違いない。再修正した法案は総力戦で自民党と交渉した成果物であり、少しでも前進したということで、賛成したい」と述べました。

公明 山口代表「入念に仕上げようと再修正」 

公明党の山口代表は記者団に対し「各党との合意形成に努力する過程で入念に仕上げようとまた再修正がなされているが、自民党として今の国会で成立を期すという目標のもと丁寧に確実に進めてほしい。今の国会で政治資金規正法の改正を中心に再発防止策を必ず成し遂げようというのが与党の大きな目標だ」と述べました。

国民 玉木代表「再修正した法案には反対の方向」 

国民民主党の玉木代表は記者会見で「政策活動費を10年後に公開すると言っているが、抜け穴がたくさんあいており、とても国民が期待する公開基準にはなっていない。安易な妥協をすれば、批判の矢は日本維新の会にも向かう。6日の本会議採決という話もあるが、それすら早いのではないか。われわれは政策活動費の廃止を求めており再修正した法案には反対の方向だ」と述べました。

共産 穀田国会対策委員長「でたらめさが浮き彫りに」 

共産党の穀田国会対策委員長は記者会見で「審議日程がずれ込んだのは、法案のでたらめさが浮き彫りになったということだ。企業・団体献金の禁止は、日本維新の会も本丸だと言っていたのに、いつの間にか吹っ飛んでいるのはおかしい。採決を認めるのは、とんでもないことだ。本筋は真相解明と企業・団体献金の禁止だという 旗を掲げて頑張りたい」と述べました。

自民党内に不満の声も

日本維新の会の求めに応じた法案の再修正について政権幹部の1人は「誠実に対応するのが岸田流であり、審議日程が数日遅れても全体の会期に影響はない」と話しています。

また、ある自民党幹部は「党首会談で合意した事実は重く、維新が反対しないよう対応した」と語っています。

一方で、党内からは「自民党が何でも譲歩すると思われていることが問題だ」とか、「自民党にはボディーブローのようにダメージが効いてくることになる」など公明党との協議も含めた一連の法案の修正に対する不満の声が相次いでいます。