観光客が「私道」を通り抜けることが問題となっていた京都・祇園で、「通行禁止」の看板が設置された。違反した人は「罰金」として1万円が請求される。 「舞妓さんに触ったり…」迷惑行為に悩まされる京都・祇園の私道に『進入禁止』の看板 5月29日も朝から外国人観光客でにぎわう京都の祇園。 記者リポート:祇園の私道『小袖小路』では、観光客の“進入禁止”を示す看板が設置されました。 路地に立てられたのは、観光客の「進入禁止」と書かれた看板。住民たちがある問題に悩まされていたことから設置に踏み切った。
■観光客があふれ「私道の通り抜け」問題に
京都・祇園のメインストリート「花見小路通」周辺には、多くの観光客が訪れているが… 記者リポート(3月):インバウンド客でしょうか、10人くらいの人数で狭い私道に入って行きます。 問題となったのは「私道の通り抜け」だ。 記者リポート:私がいる花見小路は公道ですが、一本路地に入ったこちらの道は私道なんです。 「花見小路」周辺には、公道と私道が混在し、私道には店舗のほか、住宅も面していて、その一つが今回看板を設置した「小袖小路」だ。 祇園町南側地区協議会 太田磯一幹事(3月):この路地、ご覧のとおりとっても狭いんですけど、この中にお茶屋さんが2軒ほどあるんです。そこからの苦情があったので、立て看板を立てる対策を取りました。 これまでは住民の厚意で“通り抜け”できたが、ネットドラマの舞台にもなり、「聖地巡礼」で訪れる人も増え、観光客であふれかえる事態になっていた。住宅に侵入してくるケースもあるという。 3月に取材していた時にも… 祇園町南側地区協議会 太田磯一幹事(3月):こうやって自転車が来る時もありますからね。こんだけ来ると道が通れなくなりますからね。ああやって滞留されると、お茶屋さんも出てこられないっていう状態になりますので。(舞妓さんが)出たらシャッターチャンスみたいに、みんなが写真撮ったり、取り囲んだりしますからね。 祇園一帯では、舞妓さんを追いかけて撮影するなどのマナー違反も多く、5年前から「私道での撮影を原則禁止」とする看板を設置していた。 私道を管理する協議会は、さらに今回、小袖小路の入り口2カ所に「通り抜け禁止」の看板も立て、違反した人には罰金として1万円を請求することにしたのだ。 この通り抜け禁止に観光客は… -Q.オーツーリズムで進入禁止になるが? オーストラリアからの観光客:その判断は良いと思うわ。人が多いからね」。 アメリカからの観光客:祇園に来て舞妓さんと夕食も楽しんだけど、ちゃんとルールに従ったよ。 小袖小路にある店の人からは… お茶屋の女将:やっと付けてくれはってありがたいと思っています。ゴミほかさはる(捨てる)とか、舞妓さんに触らはんのが、かなんでしょ。 つる居 田中泰子女将:こんなん本当は立てたくないと思いますけどね、あまりにも用なく歩かはる人が多いので。少しましになるかなと思っています。 住民や舞妓さんたちを悩ます観光マナーの問題。29日は、通る人はいなかった。 祇園町南側地区協議会 太田磯一幹事:多大な迷惑をこうむっているということを受けまして、協議会としては、地元住民の意思をファーストに、こういうもの(進入禁止の看板)を立てさせていただきました。 協議会では今後、効果を見て、ほかの私道にも広げるか検討するということだ。
■公道と私道の区別は難しい まず周知が必要か
京都のオーバーツーリズムの問題で、地元の方も困っているので、こういった対策もやむを得ないのだろうか。「newsランナー」コメンテーターで前尼崎市長の稲村和美さんは、“周知”の必要性について次のように話した。 稲村和美さん:悪気がない方もいらっしゃると思うんです。公道と私道の区別って私たちもつかないですし、人数が少ない時には問題なかった。それがいま問題になってしまった。通ってはいけない、迷惑になるんだったらやめとくという方が大半だと思うんです。まずしっかり周知していくのが必要だと思います。
■「八坂神社」で乱暴に鈴を振る外国人観光客 注意すると“不機嫌な顔”
他にも京都で、ある迷惑行為が物議を醸している。1200年以上の歴史があり、京都の祇園の街を見守ってきた「八坂神社」。その境内で行われた迷惑行為が… 右に左に、力いっぱい乱暴に鈴を振る外国人観光客だ。関係者とみられる男性がすぐそばで撮影をしている。 その様子を撮影した男性がやめるよう注意をしたところ、不機嫌な顔をされたそうだ。八坂神社によるとこうした迷惑行為が後を絶たないという。 八坂神社の鈴をめぐってはこれまでも迷惑行為があったそうで、八坂神社は苦渋の決断をした。 午後5時ごろから翌日の午前6時頃まで、本殿の鈴緒を鳴らせないように止めて対策をしているという。他にも参拝方法や注意喚起の看板設置や、見回り人数・回数を増やすこと、夜間用の防犯カメラの設置などを検討中だということだ。迷惑行為が後を絶たない状況で、このような対策が必要になっている。 関西テレビ 加藤報道デスク:訪日外国人の方は、いまほどインバウンドの方が来られる前には、もしかしたら日本のことが好きで、勉強して来られていた方が多くいたのかもしれません。ここにきて円安で、リーズナブルだからちょっと日本に行ってみようといった感覚で来ている方が多くなってきたのかもしれません。そういった方はもしかしたらあまりマナーを学ばずに来ているケースもあると思いますので、そのような観光客も増えていると私たちも理解して、受け入れる側も変わっていかなきゃいけない。例えば細かくマナーをまとめたものを旅行会社に提示するとか、積極的に手を打つ方法はあるのかと思います。 マナー、作法といったものを周知する必要があるのかもしれない。インバウンドで恩恵を受ける部分もあるが、やはり地元の負担にならないような、持続できる観光のあり方を考えていく必要があるだろう。
(関西テレビ「newsランナー」 2024年5月29日放送)