静岡県知事選挙、鈴木康友氏が初当選 立民など推薦(2024年5月26日『日本経済新聞』)

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静岡県知事選で当選が確実になり、万歳する鈴木康友氏(左から3人目)=26日夜、静岡市
川勝平太氏の辞職に伴う静岡県知事選は26日投開票され、無所属の新人で前浜松市長の鈴木康友氏(66)=立憲民主、国民民主推薦=が、同じく無所属新人で元県副知事の大村慎一氏(60)=自民推薦=らを破り初当選を決めた。
リニア中央新幹線については推進の立場を掲げており、止まっていた静岡工区の工事が進み出すか注目される。事実上の与野党対決に自民党は4月の衆院3補欠選挙に続いて敗北した。
投票率は52.47%で、21年の前回選を0.46ポイント下回った。
川勝県政ではリニア問題を巡ってJR東海と対立し、国の仲介も機能しないなど国家的プロジェクトの推進に関する国と地方のあり方が問われた。静岡工区の着工を認めなかった川勝氏に対し、鈴木氏は推進に向け課題克服を目指す立場を取る。
4期目の途中だった川勝前知事が自身の不適切発言への責任を取って4月10日に辞職願を出し、1カ月後に告示を迎える異例の短期決戦となった。
自民党衆院3補選で不戦敗も含め全敗し、直後に迎えた知事選でも野党系に屈する結果となった。
鈴木氏は県西部の浜松市出身。コンサルティング会社経営を経て、2000年から衆院議員を2期、07年から浜松市長を4期務めた。今回の選挙戦では民間出身の目線や国政とのパイプ、市長として新興企業の誘致に取り組んだ点など多様な経験を訴え、浜松市など県西部での支持が勝利につながった。
すずき・やすとも=80年(昭55年)慶大法卒。コンサルティング会社経営、衆院議員、浜松市長。静岡県出身、66歳。
 

静岡県知事選、無党派層支持2氏分け合う 共同出口調査(2024年5月26日『共同通信』)
26日投開票の静岡県知事選で共同通信社が実施した出口調査を支持政党別に見ると、「支持する政党はない」とした無党派層の投票先は、前浜松市鈴木康友氏=立民、国民推薦=が49%、元副知事大村慎一氏=自民推薦=が43%と、ほぼ分け合う形となった。
4期15年にわたった川勝平太前知事の県政運営を「大いに評価する」「ある程度評価する」と答えた人が全体の66%を占めた。
鈴木氏は立民支持層の79%、国民支持層の58%を取り込んだ。一方、自民党支持層の63%、自主投票を決めた公明党支持層の56%が大村氏に投票した。
男女別の投票先は、鈴木氏と答えた男性が48%、女性が44%。一方、大村氏は男性43%で、女性45%だった。
水資源への影響を懸念した川勝前知事の下で、リニア中央新幹線着工を認めなかった県の対応については「評価する」が56%だった。
新知事に一番力を入れてほしい政策は何かとの設問では「経済・産業振興」が38%で最多。「教育・子育て」が19%と続き、「リニア中央新幹線への対応」は4番目の11%だった。
出口調査静岡県内の投票所60カ所で実施。投票を終えた有権者2929人から回答を得た。
静岡知事に野党系鈴木氏が初当選 自民は3補選続き敗北、政権痛手(2024年5月27日『共同通信』)
 川勝平太前知事の辞職に伴う静岡県知事選は26日投開票され、立憲民主、国民民主両党が推薦した無所属新人の元浜松市鈴木康友氏(66)が、自民党推薦で無所属の元副知事大村慎一氏(60)ら計5新人を破り初当選を果たした。川勝氏が静岡工区の着工を認めてこなかったリニア中央新幹線に関する県の政策は転換される見通しだ。投票率は52.47%で、前回2021年の52.93%を0.46ポイント下回った。
 
 自民は全敗した4月の衆院3補欠選挙に続く大型選挙での敗北で、岸田文雄首相の政権運営に痛手となった。派閥裏金事件による逆風が響いた。立民、国民は次期衆院選に向けて弾みにしたい考えだ。
 立民の大串博志選対委員長は「自民党が裏金問題で政治不信を深める中、国政上も大きなインパクトを持つ結果だ」と党本部で記者団に述べた。自民の小渕優子選対委員長は「県民の審判を真摯に受け止めたい」とのコメントを発表した。
 リニアに関し、鈴木氏は26日「現状を把握して、いろいろな課題に対応する。自然環境の保全の問題はきちんとやる」と強調した。 自民は全敗した4月の衆院3補欠選挙に続く大型選挙での敗北で、岸田文雄首相の政権運営に痛手となった。派閥裏金事件による逆風が響いた。立民、国民は次期衆院選に向けて弾みにしたい考えだ。