【おひとりさま】60歳代・70歳代の「貯蓄額」と「厚生年金・国民年金」の受給額はいくら?(2024年5月17日『LIMO』)

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写真:LIMO [リーモ]
老後は2か月に一度振り込まれる厚生年金や国民年金が生活の柱となることが多く、不足する分は貯蓄を取り崩すなどしてカバーすることが考えられます。
おひとりさまの場合、生活費のすべてをひとりの年金や貯蓄でまかなわなければならず、年金がいくらもらえるのか、また、貯蓄はいくらあれば良いのか悩んでしまう方もいるでしょう。
そこで本記事では、60歳代と70歳代のおひとりさまがどのくらい年金を受け取っているのか、また、貯蓄額はどのくらいあるのかリアルな実態について解説していきます。
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おひとりさま60歳代・70歳代の貯蓄額
金融広報中央委員会の「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」によると、おひとりさま60歳代の平均貯蓄額は1468万円、70歳代では1529万円です。
ただし、平均貯蓄額は金額の大きな世帯が値を引き上げていることがあるため、「中央値」の方がより実感に近い平均額といわれています。おひとり60歳代の中央値は210万円、70歳代では500万円という結果になっており、実際にはこちらの方が平均的な貯蓄額といえます。
●60歳代おひとりさまの貯蓄状況
60歳代おひとりさまの貯蓄状況について、さらに詳しく確認していきましょう。下表は、貯蓄額ごとの割合をまとめたものです。
60歳代おひとりさまの貯蓄額を見ると、最も多いのが「金融資産なし」で約33%を占めており、約3人に1人は貯蓄なしという状況です。
次いで多いのが「3000万円以上」で約15%となっており、高額な貯蓄がある方がいる一方でほとんどない方がいるという「貯蓄額の両極化」が起きていることがわかります。
●70歳代おひとりさまの貯蓄状況
続いて、70歳代おひとりさまの貯蓄状況も見ていきましょう。
70歳代おひとりさまでも最も多いのは「金融資産なし」で26.7%ですが、60歳代よりも6.6%減少しています。次いで多いのが「3000万円以上」で17.3%となっており、60歳代よりも2.2%増加しています。
60歳と同様に貯蓄額の両極化が見られますが、70歳代の方が緩和されているといえるでしょう。
では、60歳代・70歳代おひとりさまは厚生年金や国民年金といった公的年金をどのくらい受給しているのでしょうか。
次章で詳しく見ていきます。
厚生年金・国民年金の平均受給額
厚生労働省年金局の「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」をもとに、平均受給額を確認していきましょう。
●60歳代の平均年金受給額
60歳代の厚生年金・国民年金の各年齢における平均受給額は以下の通りです。
 60歳~69歳「厚生年金・国民年金」の平均受給額
 ・60歳:厚生年金9万4853円・国民年金4万2616円
 ・61歳:厚生年金9万1675円・国民年金4万420円
 ・62歳:厚生年金6万1942円・国民年金4万2513円
 ・63歳:厚生年金6万4514円・国民年金4万3711円
 ・64歳:厚生年金7万9536円・国民年金4万4352円
 ・65歳:厚生年金14万3504円・国民年金5万8070円
 ・66歳:厚生年金14万6891円・国民年金5万8012円
 ・67歳:厚生年金14万5757円・国民年金5万7924円
 ・68歳:厚生年金14万3898円・国民年金5万7722円
 ・69歳:厚生年金14万1881円・国民年金5万7515円
 ・60歳代前半:厚生年金7万8504円・国民年金4万2722円
 ・60歳代後半:厚生年金14万4386円・国民年金5万7848円
60歳代の年金受給額では、64歳までと65歳からの金額に差が生じていることがわかります。
厚生年金の65歳未満に受給している部分は「特別支給の老齢厚生年金」であり、定額部分の支給がなく報酬比例部分のみの支給となっている方です。65歳からは老齢厚生年金受給者の平均額となるため、表の最下行にある平均受給額は、65歳未満(60歳代前半)と65歳以上(60歳代後半)とに分けて算出しています。
また、国民年金の65歳未満は繰上げ受給をした方の受給額です。繰上げ受給は、1ヵ月繰り上げるごとに0.4%が減額され、60ヵ月繰り上げると24%が減額されます。65歳からは原則通りの受給開始年齢となり減額がないため、平均受給額は60歳代前半と後半とに分けてあります。
厚生年金の平均受給額は、65歳未満で約7万9000円、65歳以上で約14万4000円、国民年金では65歳未満で約4万3000円、65歳以上で約5万8000円という結果です。
●70歳代の平均年金受給額
続いて、70歳代の厚生年金・国民年金の平均受給額を見ていきましょう。
 70歳~79歳「厚生年金・国民年金」の平均受給額
 ・70歳:厚生年金14万1350円・国民年金5万7320円
 ・71歳:厚生年金14万212円・国民年金5万7294円
 ・72歳:厚生年金14万2013円・国民年金5万7092円
 ・73歳:厚生年金14万5203円・国民年金5万6945円
 ・74歳:厚生年金14万4865円・国民年金5万6852円
 ・75歳:厚生年金14万4523円・国民年金5万6659円
 ・76歳:厚生年金14万4407円・国民年金5万6453円
 ・77歳:厚生年金14万6518円・国民年金5万6017円
 ・78歳:厚生年金14万7166円・国民年金5万5981円
 ・79歳:厚生年金14万8877円・国民年金5万5652円
 ・70歳代の平均:厚生年金14万4513円・国民年金5万6626円
70歳代の厚生年金平均受給額は約14万5000円、国民年金は約5万7000円です。
60歳代・70歳代ともに、厚生年金と国民年金の受給額に9万円に近い差が生じています。現役時代に自営業や個人事業主などで国民年金のみに加入していた方は、年金だけでは生活費をカバーできない可能性が高いです。現役のうちから早めに老後資金の準備を始めておく必要があるでしょう。
 
まとめにかえて
60歳代・70歳代のおひとりさまの貯蓄状況は、貯蓄なしが最も多く、次いで多いのが3000万円以上となっており、貯蓄額の差が大きく出ています。
また、国民年金や厚生年金の受給額では、国民年金は厚生年金よりも約9万円受給額が少なく、年金以外の老後資金の準備が必要になります。
おひとりさまは老後の生活費を一人でまかなわなくてはならないため、年金額を増やしたり貯蓄を心がけたりなどして、経済的な不安を減らせるようにしましょう。
参考資料
 ・金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」
 ・厚生労働省年金局「令和4年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」
木内 菜穂子