社宅制度を巡る訴訟の判決後、記者会見で話す原告の女性=13日午後、東京都千代田区
全員男性の総合職だけに社宅制度を認めるのは男女差別だとして、ガラス大手AGCの子会社AGCグリーンテック(東京)に勤める一般職の女性(44)が会社に損害賠償などを求めた訴訟の判決が13日、東京地裁であった。別所卓郎裁判長(瀬田浩久裁判長代読)は、間接的な男女差別に当たると判断し、約370万円の支払いを命じた。
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2007年に施行された改正男女雇用機会均等法は、女性に満たしにくい要件を課して、実質的に女性を排除する「間接差別」を禁じている。
判決によると、同社の総合職は20年時点で男性20人、一般職は6人中5人が女性で、総合職にのみ社宅制度の利用が認められていた。
別所裁判長は、性別によって取り扱いに差を設ける直接的な男女差別には当たらないとしつつ、「事実上男性のみに適用される福利厚生措置で、女性に不利益を与えたことに合理的理由はない」と指摘。経済的恩恵の格差はかなり大きく、間接差別に当たると認め、そうした措置を漫然と続けたのは違法と結論付けた。
原告の女性は記者会見で「待ちに待った答えを頂けた」と判決を歓迎し、「女性がもっと意見を言えて能力を発揮できる、差別のない職場にしてほしい」と訴えた。代理人の平井康太弁護士は「間接差別を認めたのは国内では初めてだと思われ、画期的だ」と評価した。
AGCグリーンテックの話 判決文を受け取っておらず、コメントは差し控える。
大手ガラスメーカーの子会社で一般職として働く女性社員が、事実上、総合職の男性社員だけが社宅制度が利用できるのは、男女差別だと訴えた裁判で、東京地方裁判所は、男女雇用機会均等法の「間接差別」にあたり、違法だとして、会社側に損害賠償を命じる判決を言い渡しました。
大手ガラスメーカー「AGC」の子会社「AGCグリーンテック」で働く44歳の一般職の女性は、現在は全員が男性社員の総合職に家賃を最大8割補助する社宅制度がある一方で、女性が大半を占める一般職には月3000円の住宅手当だけなのは、男女差別で違法だとして損害賠償などを求めていました。
13日の判決で、東京地方裁判所の別所卓郎裁判長は、「社宅制度という福利厚生を受けるのは、男性の割合が圧倒的に高く、女性の割合が極めて低い。経済的恩恵の格差はかなり大きいことが認められ、男女雇用機会均等法に照らし、間接差別に該当する」として、会社側におよそ380万円の損害賠償を命じました。
一方で、一般職の男性社員との賃金格差については、男性社員の評価や前職の賃金額を踏まえて設定されたものだとして、性別によるものとは認めませんでした。
判決のあと原告の女性は記者会見で「ずっと悔しい思いをして、たくさん泣いてきましたが、ようやくぐっすり寝られます。だた、男女の賃金差別が認められなかったのは悔しい。多くの会社で総合職や一般職で分けることがなくなり、女性がもっと意見を言えて能力を発揮できる、差別のない職場になってほしい」と話しました。
AGCグリーンテックは「現時点で判決文を受け取っておらず、コメントは差し控えます。判決内容を吟味した上で、今後の対応を検討してまいります」としています。