不都合な爆発事故(2024年5月10日『しんぶん赤旗』-「潮流」)

 大阪・関西万博は会場建設現場で起きたメタンガス爆発事故を受けて、開催自体が「いのちの危険」が問われる事態となっています

▼万博会場は今もゴミなどの最終処分場で、可燃性メタンガスが発生しガス抜きパイプが林立する場所です。建物内にたまったガスに溶接工事の火花が引火・爆発したのが、事故の原因です

▼万博協会は、工事前のガス濃度検査と自然換気を条件に工事を再開しましたが、火気持ち込み禁止もなく危険性は残されたまま。約200万人ともいわれる子どもたちを参加させようとしており、もっとも不適切な場所と指摘されるのは当然です

▼ところが、一般新聞もテレビも「パビリオン区域は大丈夫」という協会の発表を検証もなく紹介。メタンガスがパビリオン区域でも発生している事実を示し、爆発事故の危険性を報じたのは「赤旗」だけでした

共産党大阪府委員会が事故を機に、改めて発表した万博中止を求める声明を、マスコミは取材しながら1行も報じず、市民団体の万博中止を求める主張もカット。開幕1年前の特集や番組でも、不都合な爆発事故には一言もふれぬままでした

▼先週東京キー局が放送した現地リポートをめぐって、X(旧ツイッター)では「在阪局と同じ完全なヨイショ宣伝番組」「がっかりだ」と批判が広がりました。世論は半数以上が万博開催に関心がないのに、無批判に持ち上げる。報道の自由度ランキングで日本はG7最下位の70位というメディアの現実は、ここにも表れています。