立民「第1党」宣言 国民の期待、見極めてこそ(2024年2月9日『河北新報』-「社説」)

 政治資金パーティー裏金事件で「1強」自民の慢心と金権体質があらわになる中、党が目指す国と社会の姿を政策として明確に打ち出し、政権担当能力を示す必要がある。

 立憲民主党が4日の党大会で「政権交代を成し遂げて国民の手に政治を取り戻す」とする2024年度活動計画を採択した。次期衆院選では「自民党を超える第1党となる議席の確保を全力で追求する」と宣言した。

 裏金事件で岸田文雄政権と自民党の支持率が低迷していることを受け、これまで定数465の衆院で「与党の過半数割れ」を目指して掲げていた150議席の獲得目標を大幅に引き上げた。

 さらに泉健太代表は東京都内での講演で6日、擁立目標の200人を達成した上で「最終的には単独過半数が取れる240人を上回る候補者をそろえたい」と表明した。

 党幹部も「公募に人が集まるようになり、手応えが感じられる」(大串博志選対委員長)と語っており、裏金事件が一定の追い風となっているのは確かだ。

 今は事件の実態解明と金権腐敗の一掃に野党が結束しなければならない時だが、同時に次期衆院選に向け、自民批判の世論をいかに党への支持に引きつけるかが問われる局面でもある。

 泉氏は政治改革や子ども支援など各党共通の政策で連携する「ミッション型内閣」の実現を提唱し、活動計画にも「可能な野党連携を進める」と明記した。

 だが、憲法や外交・安全保障、原発など、基本政策に対する主張の隔たりを棚上げしての連携では、幅広い支持獲得は期待できまい。まずは現政権との違いを明確化することが先決だろう。

 岸田政権との対立軸を打ち出す上で、立民の主張は分かりにくい点が多い。防衛増税を厳しく批判しながらも、反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有や武器輸出拡大には強く反対していない。

 医療・介護職の賃上げなどに加え、最近では能登半島地震の被災者に対する支援金の倍増など、政権側が立民など野党の提案を巧妙に取り込んできたことも存在感の埋没につながっている。

 立民独自の主張に共感が広がらない限り、野党連携の求心力は生み出せない。技能実習制度や性的少数者夫婦別姓ジェンダーなど、立民が重視してきた人権関連の問題で議論を主導することが、いっそう重要になろう。

 共同通信の直近の世論調査によると、立民の支持率は9・0%と依然低迷している。政治に健全な緊張感を取り戻すため、国民がどんな役割を期待しているか。より深みのある分析と議論を求めたい。